今宵、シンデレラのベールの秘密。

「天寧……?」


心地いいアルトの声、シトラスの香り。


黒崎、せんぱ…い……。


っ………。


体が勝手に動いて。


「っ……」


まるでぬくもりを欲しがるように抱き着いた。


その温かいぬくもりと柔らかいシトラスの香りがして…静かに涙が頬を伝った。


背中に暖かい手が回されてそれが余計に涙を誘った。


静かに何も言わないけれど優しく抱きしめてくれた。


今はただそのぬくもりを感じていたくてぎゅっと抱き着いた。


「……嫌、なのにっ…」


本当は、婚約なんて……嫌、だ。


「っ…どうすればっ…いいのぉ…っ…っはっ」


とめどなくあふれる涙が頬を濡らす。


そんな私をただ強く抱きしめてくれた。


そのぬくもりはなんだか懐かしくて。


懐かしくて、暖かい。


このぬくもりを私は昔から知っているような、気がした。