今宵、シンデレラのベールの秘密。

「天寧さま…!?よかった、ご無事で…!ああ……」


後ろから聞きなれた声が聞こえて思わず振り返る。


焦っていたのか息が切れて肩で息をする高橋さん。


「…っ黒崎、さま……!?」


男の子を一目見ると大きく目を見開い高橋さん。


黒崎さま…?


「あ、天寧さま、行きましょう…!」


なにやら急かすようにそういうと手を引っ張りながら早足で階段を降りていく。


「ちょ、ちょっと…高橋さん…!?」


「あ…も、申し訳ございません…!!」


はっとした表情になると頭を下げだした高橋さん。


そ、そうじゃなくて……!


「あの男の子と何かあるの……?」


「い、いえ、何もありませんよ、お嬢様が気にすることではございません」


珍しく動揺していて、目を逸らしている。


「そ、そう……」


なんだか怪しいけれど……私が気にすることじゃないって……。


「それより、お嬢様…!なぜこんなところにいるんですか!一体何をされていたのですか!?」


――うーん…なんていえば……。


そうだ…!


「ほ、ほら、昨日忘れ物しちゃって…それで急いで朝取りに来たの…!」


高橋さんは不思議そうにしていたけれどなんとか言いくるめて終わった。


よ、良かった…久しぶりにスリルを感じた……。


「それより、お嬢様。黒崎さまとはどのようなご関係で?」


問い詰めるようにそう聞いてくる高橋さん。


え、っと……。


「っ偶然!偶然、朝会ってね…!!」


「ではなぜ黒崎さまの腕の中に?」


うっ………そ、それは…!


「つまづいて、転んじゃったからです…!」


「躓いて転んだ?ですって!?そんな…!お怪我は!?今すぐ専属医師を…!」


「な、何言ってるの…!大丈夫!男の子が助けてくれたし…!ほら絶好調…!」


そして元気に足を振り回す。


「そ、そうですか…」


「あ、このブレザー…!返しそびれちゃった…!」


黒崎くんのブレザーは何故かぎゅってするだけで安心して、暖かった。


きっと、このブレザーがなかったら――私の運命はここで終わりを告げていた、と思う。