今宵、シンデレラのベールの秘密。

「……”予備”の婚約、もう終わりにしますので…っ」


心の底から声を振り絞る。



「……もう、私に構わなくても…っ」


あ、れ……駄目だ。


涙が……出ない。


泣きたい気持ちだけど、泣かないって決めてる。


だけど、溢れそうな”もの”。



なのに、全然溢れてこないよ。


想いが……もう、ぐちゃぐちゃ…だよ…っ…。



私の方が苦しいはずなのに、心が嫌なのに、言葉は思ってもないことばっかり。


貴方はもう、私から解放されていいはずなのに……そんな顔しないでよ…っ。


「……無、理だ…」


苦しいくらいに痛々しい声が教会を覆うほど重く感じた。



「俺は……ただ…、」




彼の暗黒の瞳に苦しさともう一つ、”歪みすぎたモノ”が浮かんでいたことを少女は知る由もなく。


彼の……重すぎて、重すぎて、ねじ曲がった愛など彼自身も知らないだろう。


ただ、孤独が募る二人の抱き合う姿だけが、シルエットとなり、夜の教会に吸い込まれていった――。