今宵、シンデレラのベールの秘密。

「……泣けばいい」


背中に回った暖かい手が心地よくて、安心するぬくもりだった。


泣けば、いい…?


私…、泣いても…いいの…?



「……大丈夫」


どこか懐かしい柔らかい声に涙が溢れてきた。


誰かに言いたい。


私は……今、誰かに聞いてほしい。


……我儘だと分かっていても。迷惑だと分かっていても。



どこか懐かしいぬくもりに抑えきれなかった言葉が自然と溢れた。



「っ……お父さん、にっ……」


言葉が、勝手に……。


「……ん」


短い相槌だけなはずなのになんだか心が落ち着く……。


「……婚約っ、を聞かされて…っ本当はこわ、いっ…怖いのっ!」


「……うん」


何を、私は……話してるの…。


なのに男の子は黙って静かに話を聞いてくれた。


だから泣きじゃくった。


さっきよりずっと強く抱きしめてくれた。


静かに涙があふれて止まることなくその勢いは増すばかりで。


気づけば意識は遠のいてそれを境にぷつり、と途絶えた。


暖かい腕の中で静かに夜が明けていく――。


思い通りにいかない今日も私は生きている。


ただ、それだけでいいんだよ。


そう、伝えてくれるような、”暖かい”ぬくもりだった。