「またそんなこと言って。天才子役"星宮きらら”の名が泣いてるわよ?」
「わっ!その話はやめてよ!」
私はあわてて、ルミ子の口を塞ぐ。
実は私は、子役の“星宮きらら”として一度だけドラマに出演したことがある。
ちなみに“きらら”は芸名で、当時流行っていた魔法少女もののアニメの主人公の名前。
あれは、ママと一緒にパパにお弁当を届けに行った時のこと。
ドラマのプロデューサーさんに、急きよ代役をやってくれって頼まれたの。
そのことを知っているのは、家族とルミ子だけ。
ルミ子に話すつもりはなかったんだけど……。
ルミ子が家に遊びに来た時に、うっかり私の子どもの頃の写真を見られてしまったんだ。


