とにかく私は、街に出ても芸能人が映る看板は見上げないようにしている。
CDショップの前は、もちろん早足で通り過ぎるし。
そんな私が、流行りのアイドルなんて知ってるはずがない。
「そのアクセルが、"あの”彗星学園でライブをするのよ?行くっきゃないでしょ!」
「彗星学園って……たしか、芸能科が有名な学校だっけ?すごいね。人気のアイドルなのに、チケットが手に入ったんだ」
すなおに関心していると、
「ぐはっ!」
ルミ子は致命傷を負ったみたいに、地面に片ひざをつく。
「手に入らなかったわ……。販売開始一秒で、即完売よ!ファンクラブ会員なのに!」
ルミ子は涙を流しながら、悔しそうに地面をたたく。
かと思えば、すぐに立ち直って、
「でも会場の近くまで行けば、メンバーを見られるかも!ひなこも一緒に行きましょ!」
「えっ……。私は、アイドルとか興味ないから……」
なんて、本当は意識しまくりだ。
ジャンルは違えど、芸能界のことですし……。


