きらめきスポットライト


「それより、ルミ子。そんなにはしゃいで、どうしたの?」

「よくぞ聞いてくれました!」


ルミ子は、ぐふふっと笑みを深めて、


「これから、“アクセル”のライブがあるの!」

「アクセルって?お笑いコンビ?」

「ちっがーう!はあ⁉︎マジで知らないの?女子中学生の常識なんだけど⁉︎」



ルミ子はカッと目を見開いて、私が知らない世界の常識を語る。

私はじゃっかんの気まずさを感じて、



「ごめん、ごめん。コンビじゃなくてトリオだよね」

「だから、芸人じゃないっつの!」



するどいツッコミをしたルミ子は、自分のスマホの画面を印籠のように突き付けてくる。



「アクセルは、女子中高生に大人気の五人組の男性アイドルグループ!」


画面には、キラキラした衣装の同年代くらいの男の子が並んでいた。


「うーん。初心者の私には、見分けがつかないかも……」

「初心者って、本気で言ってるの⁉︎ドラマや映画、バラエティーにCMに引っ張りだこでテレビで見ない日はないくらいでしょうが!」



そう言われても、うちテレビないからな……。

お父さんが事業に失敗して家が差し押さえられた時に、一緒に持って行かれてしまった。



それに、芸能関係のニュースを見ると、むかしのことを思い出す。

いわゆる、"トラウマ”ってやつなんだけど……。

わっ!思い出したら、ゾゾッと鳥肌が立ってきた!