「ママ、かっこいい!」
恋するヒロインに、パティシエ。時代劇のお姫様に、凶悪犯を追う刑事さん。
それから、なんと言っても名探偵!
ドラマや映画の中で、たくさんの役柄を演じるママは、幼い私の憧れだった。
「でしょでしょ?興味あるならさ、ひなこも女優さんになる?」
「じょゆーさん?」
私がきょとんとしていると、ママはリビングにいる私のところに来てくれる。
ママは私と目線を合わせるようにしゃがむと、
「女優さんってね、役の数だけ違う自分になれるとっても素敵なお仕事なの!観ている人を幸せな気持ちにもできるし、一石二鳥ってやつ!」
にっこりほほ笑むママに、私は目を輝かせる。
「本当に⁉︎ひなも女優さんになりたい!ひなもママみたいになるの!」
「よーし。じゃあ、ママと練習しようか!」
「うん!ママと一緒にドラマに出るの!約束!」
「うん。ゆびきりげんまん!」


