『目印になるもの、何かあるだろ?』
「目印はね~、ひーちゃんとアオくんがいるよ!」
『だから、だれだよ!とにかく急げ!ライブまで、あと、三十分しかないぞ!』
相手はひどくあせっている様子だ。
「えー、そうなの⁉︎おれもライブ出たい!」
「出たいとかじゃなくて、お前が出ないとこまるんだよ!色んな人にめいわくおけるし、何より、アクセルのファンがお前のこと待ってるんだからな!」
「えー、こまったね。どうしょう、ひーちゃん!」
光くんはたすけを求めるように、きゅるるるんっとうるんだ瞳で見つめてくる。
「うっ!」
かわいい!
破壊力バツグンの顔面にやられた私は、心臓をズギュンッ!と撃ち抜かれる。
って、こうしてる場合じゃない。
『さっきからひーちゃんって……。もしかして、ほかにだれかいるのか?』
「うん。ひーちゃんの家で、美味しいオムライス作ってもらったんだ!」
『はあ⁉︎ 女の家にのこのこ行くとか、ファンに見られたらどうするんだ⁉︎』
「お前じゃ、らちが明かない。その女に変われ」
この魔王のように低い威圧感のある声は、はじめに電話に出たソウくんだ。
「だってさ、ひーちゃん!」
「ええ……?」
この流れで電話に出るのいやだな……。
だけど、なんだかあせっているみたいだし。


