「はい、これで完成。ケチャップは、好みの量をかけてね」
「やったー!ハート書いて!」
「え?私が書くの?」
「え?ほかに、だれが書くの?」
光くんはきょとんとしてるけど、自分で書けばいいんじゃ……。
もしかして光くんって、お金持ちの家の子なのかな?
だれかに何かをしてもらうことに、慣れてるみたいだし。
あきらめた私は、
「はいはい。書けましたよ〜」
「わーっ、ありがとう!いっただっきまーす!」
手を合わせた光くんは、オムライスを一口。
そして、
「うんまぁ~!」
ほっぺをおさえて、目を輝かせる。
「ほんとに?変わった食材は使ってないんだけど」
よろこんでもらえると、うれしいな。
「うん。今日もうまいよ」
「ありがとう、アオ」
私が作った料理を二人が美味しそうに食べてくれるだけで、なんだか胸がいっぱいだ。
にこにこしながら二人を見守っていると、
「“今日も”ってことは、いつもこんなにおいしい料理を食べてるんだ……!」
ほほを紅潮させた光くんは、興奮ぎみに私の手をにぎる。
「おさげちゃん、おれのお嫁さんになって!」
……求婚された。オムライスごときで。
「おさげちゃんの料理が、毎日食べたいです!」
光くんは本気で言っているらしく、その目は燃えている。
片ひざをついて、指輪代わりに空き缶のブルタブをはめようとしてくるし。
指にはめて抜けなくなったら大変だから、遊びに使うのはやめようね?
「なら、結婚じゃなくても、専属シェフとかでいいんじゃない?」
「たしかに……!」
冷静なアオの言葉で、光くんはピシャンと雷にうたれたように衝撃を受ける。
私はフリーズした光くんの手から、そっと空き缶のブルタブを回収しておいた。


