「すっげえー!大変だよ、にいちゃん!カメレオンレッドだって!」
「いや、そんなわけねえだろ……」
お兄ちゃんのケンくんは、すっかり信じた様子の弟にあきれ気味だ。
私はケンくんに向き直ると、
『心に隙を見せれば、ダークサイドに付け込まれてしまう!』
「は、はあ?ダークサイドって、悪の組織の名前だろ?現実にいねえから、関係ねーし」
にらみつけてくるケンくんに、私はにっこりほほ笑んで、
「弟には優しく、兄弟なかよくね」
「えっ?は、はい……」
ポーッと顔を赤くしたケンくんは、すなおに返事をしてくれる。
「カメレオンレッドも一緒に遊ぼうよ!」
「あっ、ダメでしょ。あんた、これから歯医者なんだから」
「やだやだ、カメレオンレッドと遊びたい!」
だだをこねる弟くんに、私は真剣な顔で言う。
『これはトップシークレットなんだが、実はこの街にきけんがせまっているんだ』
「そうなの……?」
『あぁ。だが、わたしが来たからには、心配ない!君は、家に帰ってお母さんたちを守ってくれ。お願いできるね?』
「わかった!ありがとう、カメレオンレッド!」
さっきまで泣いていた弟くんは、すっかり元気になって、やる気満々だ。
『さらばだ、少年少女よ!』
笑顔で手をふっていると、
「ありがとね、カメレオンレッドの“おねえさん”」
私に助けを求めてきた女の子が、こっそり耳打ちしてくる。
その言葉で、ハッと我に返った。


