「姉ちゃん、あの子泣いてるよ」
「分かってるけど……。私が、極度のきんちょうしいだって知ってるでしょ?」
初対面の子に声をかけるなんて、絶対に無理だ。
仮に声をかけられたとしても、不審者みたいに挙動不審になってしまう。
「お願い!アオが行って」
「ムリ。おれ、子ども苦手だし」
「アオだって、子どもでしょうが」
私たちがこそこを話している間にも、女の子はチラチラとこちらを見ている。
たすけてって視線をひしひしと感じて、ああ、無視できない……。
私はなやみになやんだすえに、入り口近くのベンチに荷物を置く。


