崖っぷち女子は屋上で拾ってくれた年下上司とスイーツ革命中

「できたよ。座って」
テーブルには、ゆずが香る温かい蕎麦と、温野菜が並んだ。
「いただきます……あぁ、美味しい」
私が呟くと、修司の目が少し和らぐ。
「リアが喜ぶなら、毎日でも作るよ」
「……それはさすがに悪いよ?」
「じゃあ、二日に一回で」

ほんの小さな冗談が、こんなに嬉しいなんて。
私は箸を置いて、そっと修司を見つめた。
「修司は……今の仕事、大変じゃない?」
「大変だよ。広報なんて、基本的に戦場だから」
あっさり言ってから、柔らかく続ける。
「でも、俺の意思で選んだ仕事だし。
 前みたいに“潰される前提”の働き方じゃない。
 
 ちゃんと、自分の人生を歩いてる感覚がある」

その言葉が胸に沁みる。
(あの日、私たちは本当に“働き方を選び直した”んだ……)
相談し合いながら、支え合いながら、

“会社のためじゃない働き方”へと舵を切った。
私は好きな制作を。
修司は好きなブランドのプレスを。

そして、互いの生活をそっと支える。
それが今の、私たちの形。


今、厳しい状況でも、
胸を張って頑張っていける状況になったと思う。
食器を片づけ終えた修司が、隣に座る。

肩が触れ、ゆっくり手が重なる。
「リア」
「なに?」
「頑張ってるね。
これからも……

 楽しい方の人生を、一緒に選んでいきましょう」
二人で顔を見合わせ、しみじみと笑顔になる。

「うん……
 修司と一緒なら、どんな人生でも面白いよ」


それだけで、胸の奥が満たされていく。
窓の外では、夕暮れが夜に変わりかけている。

静かで、穏やかで、少しだけ未来が広がっていく音がする。
泣きながら帰ることも、
仕事に潰されることも、

誰かの機嫌に怯えることも、

きっと何かあっても耐え切れるほど、自信を持って進んでいける道。
これからは──

“ふたりの人生”を、ふたりで作っていく。

あの屋上でスイッチを切り替えてから、

面白い方の人生を選んだから。