倒産からしばらく経ち、私は少しずつ日常を立て直していた。
昼は近所のカフェでバイト。
夜は小さな机で、手作りグッズ販売サイトに出すアクセサリーを作る。
最初は売れない日々が続いた。
だがある日、突然、一点が売れた。
次の日には色違いが、さらにその週には三点まとめて購入される。
それからも、少しずつだが週に十点以上売れる日が続いた。
「……嘘みたい」 通知が鳴るたびに、胸の奥がそっと満たされていく。
自分の作ったものが、誰かの生活の一部になっている
――その実感が、倒産以来ずっと失われていた
“自分で稼ぐ”という感覚を、ゆっくり取り戻してくれた。
カフェの休憩時間。
自然光が差し込む窓際の席で、手帳に新作のアイデアを描き込む。
鉛筆の感触、紙の香り、コーヒーの湯気。
学生時代の胸の高鳴りを思い出し、思わず唇の端が緩んだ。
そんなある夕方。
ポン、とLINEの通知が鳴った瞬間、息が止まった。
長いこと話してなかった友人からだった。
『今度みんなでライン飲みするから、リアも飲もー!』
明るいお誘いに乗ってみると、時が戻ったように学生時代のみんなと大騒ぎできた。
『仕事やめたって噂で聞いて心配だったけど、元気そうでよかった!』
『本当!!私絶対にリアのブレスレット買うからね!』
『今度、展示会す出すとき教えてよー』
思った以上に、みんなが心配してくれていたし、アクセサリーのことを喜んでくれた。
置いてくれる店舗や展示できる場所などの情報まで教えてくれた。
ミクちゃんからも連絡が来て、表参道のカフェで会う機会が増えていた。
「ここが革命団で来てたところですね」
「ふふふ」
「ところで、先輩のアクセ、うちでも何かしらの形で出せないか考えてるんで!
ボタンとか、ビーズの刺繍的なもの作れます?」
サクサクと話を進めるミクちゃんを見ていると、
隣にいて一言も交わすことのできなかった日々があったとは思えなかった。
思わずふき足して笑ってしまう。
「本当に、こんなに色々と考えてくれてありがとう。無理はしないで大丈夫だからね」
「先輩、本当に雰囲気変わりましたよね。
どんどん柔らかくなっていくし、よく笑うし、たくさん気持ち話してくれるようになって」
ミクちゃんまで目を細めてこちらを見る。
「あれから話せるようになって、本当に嬉しいですし。
私、やっぱり先輩とモノづくりしたいんです」
自分の人生に、仕事しかなかった時とは全く違う時間が流れ始めていた。
あとは、今作り続けているものが、軌道に乗ってくれたら……
大山さんと話したようなワクワクする毎日を送ることができていた。
(あの頃ビクビクしていた私とは違う。
今なら、本当に自信を持ってヤマさんに感謝の気持ちが言えるのに)
大手外資アパレルのプレスになった大山さん。
きっと忙しくて難しいかもしれないけど、やっぱりこちらから連絡してみようかな。
そう思っていた矢先、未読ライン10件の中に、大山さんからのものがあった。
【大山さん】
『久しぶり。元気にしてる? もし時間あったら、今度、湘南行かない?』
指先がわずかに震える。心臓がどくんと跳ねた。
(……大山さんから。二ヶ月ぶり?)
忙しいはずなのに、それでも連絡をくれたことが、胸の奥に小さな火を灯す。
『行きたいです』
送信した瞬間、肩の力がふっと抜けた。
昼は近所のカフェでバイト。
夜は小さな机で、手作りグッズ販売サイトに出すアクセサリーを作る。
最初は売れない日々が続いた。
だがある日、突然、一点が売れた。
次の日には色違いが、さらにその週には三点まとめて購入される。
それからも、少しずつだが週に十点以上売れる日が続いた。
「……嘘みたい」 通知が鳴るたびに、胸の奥がそっと満たされていく。
自分の作ったものが、誰かの生活の一部になっている
――その実感が、倒産以来ずっと失われていた
“自分で稼ぐ”という感覚を、ゆっくり取り戻してくれた。
カフェの休憩時間。
自然光が差し込む窓際の席で、手帳に新作のアイデアを描き込む。
鉛筆の感触、紙の香り、コーヒーの湯気。
学生時代の胸の高鳴りを思い出し、思わず唇の端が緩んだ。
そんなある夕方。
ポン、とLINEの通知が鳴った瞬間、息が止まった。
長いこと話してなかった友人からだった。
『今度みんなでライン飲みするから、リアも飲もー!』
明るいお誘いに乗ってみると、時が戻ったように学生時代のみんなと大騒ぎできた。
『仕事やめたって噂で聞いて心配だったけど、元気そうでよかった!』
『本当!!私絶対にリアのブレスレット買うからね!』
『今度、展示会す出すとき教えてよー』
思った以上に、みんなが心配してくれていたし、アクセサリーのことを喜んでくれた。
置いてくれる店舗や展示できる場所などの情報まで教えてくれた。
ミクちゃんからも連絡が来て、表参道のカフェで会う機会が増えていた。
「ここが革命団で来てたところですね」
「ふふふ」
「ところで、先輩のアクセ、うちでも何かしらの形で出せないか考えてるんで!
ボタンとか、ビーズの刺繍的なもの作れます?」
サクサクと話を進めるミクちゃんを見ていると、
隣にいて一言も交わすことのできなかった日々があったとは思えなかった。
思わずふき足して笑ってしまう。
「本当に、こんなに色々と考えてくれてありがとう。無理はしないで大丈夫だからね」
「先輩、本当に雰囲気変わりましたよね。
どんどん柔らかくなっていくし、よく笑うし、たくさん気持ち話してくれるようになって」
ミクちゃんまで目を細めてこちらを見る。
「あれから話せるようになって、本当に嬉しいですし。
私、やっぱり先輩とモノづくりしたいんです」
自分の人生に、仕事しかなかった時とは全く違う時間が流れ始めていた。
あとは、今作り続けているものが、軌道に乗ってくれたら……
大山さんと話したようなワクワクする毎日を送ることができていた。
(あの頃ビクビクしていた私とは違う。
今なら、本当に自信を持ってヤマさんに感謝の気持ちが言えるのに)
大手外資アパレルのプレスになった大山さん。
きっと忙しくて難しいかもしれないけど、やっぱりこちらから連絡してみようかな。
そう思っていた矢先、未読ライン10件の中に、大山さんからのものがあった。
【大山さん】
『久しぶり。元気にしてる? もし時間あったら、今度、湘南行かない?』
指先がわずかに震える。心臓がどくんと跳ねた。
(……大山さんから。二ヶ月ぶり?)
忙しいはずなのに、それでも連絡をくれたことが、胸の奥に小さな火を灯す。
『行きたいです』
送信した瞬間、肩の力がふっと抜けた。
