《TwilightNotes ― 夜明けに鳴る音》

 どうして――そんなふうに見るんだろう。
 
 麻里奈は、胸の奥がきゅっと締めつけられるのを感じながら、大和の視線を受け止めていた。
 ただ、いつもと違う服を着ているだけなのに。
 それだけで、彼の目が少しだけ揺れた気がして――それが、怖かった。
 
 好きで選んだわけじゃない。
 似合うかどうかなんて、考える余裕もなかった。
 
 言えばよかったのかもしれない。
 今朝、光輝の家から出てきたこと。
 でも、何もなかったこと。
 ただ、飲みすぎて――それだけだったこと。
 
 けれど、言葉は喉の奥で引っかかったまま、外に出てこなかった。
 
 もし、信じてもらえなかったら。
 もし、あの優しかった目が、また冷たくなったら。
 
 それを想像しただけで、胸の奥がひび割れそうだった。
 きっと私は――もう、耐えられない。
 
 一方で、大和は何も言わず、ただ彼女の姿を目に焼きつけていた。
 
 その服を、誰が選んだのか。
 そんなこと、口にしなければ平気なはずなのに――
 実際に目にしてしまうと、心の奥がざわついて、どうしても落ち着かなかった。
 
 昨夜送ったメッセージ。
 返事がなくて、眠れなかった夜。
 朝になって届いたのは、「大丈夫です」という、たった一言。
 
 本当に、それだけなのだろうか。
 
 信じたい。
 信じていたい。
 
 それなのに、頭のどこかで、どうしても浮かんでしまう。
 あの人と、何かあったんじゃないか――そんな考え。
 
 疑ってしまう自分が、いちばん嫌いなのに。
 それでも、目は彼女から離れなかった。
 
 気になって仕方ない。
 放っておけるわけがない。
 
 けれど、踏み込めば壊れてしまいそうで――
 ふたりは、何も言えないまま、沈黙の中に立ち尽くしていた。