季節は巡り、隣のあなたはいつでも美しい

「おとーさーん、ゆきだるまつくりたい」


 ある日の夕方、俺、須藤藤乃が駅前の剪定を終えて帰宅すると息子の藤也が物置にしている納屋で待ち構えていた。


「雪だるま? この辺は雪が降らないからなあ」

「スケートのよこに、ゆきあるって」


 藤也の話と、その後妻の花音ちゃんに聞いた話でわかったのは、近くの運動公園のスケート場に小さい子向けの人工雪で遊べるスペースがあるのだそうだ。


「いこうよ」

「それくらいならいいか……」



 そういうわけで、俺は藤也と二人で運動公園にやってきた。今日は下見なので双子の娘達は留守番だ。


「へー、思ったより広いな」

「ゆきだるまつく〜ろ〜」

「なにそれ」

「あなゆき」

「ふうん?」


 藤也が歌いながら雪だるまを作り出したので、俺も写真を撮ったり手伝ったりする。

 他にも同じような親子連れが何組かいて、のどかな雰囲気だ。


「ねえ、おとうさん」

「んー?」

 藤也が俯いて雪玉を丸めながら言った。


「じいちゃんがねえ、いえをつぐなら、かっこいいハサミくれるっていってた」

「……藤也は、花屋さんと造園屋さん、したい?」

「うん。ハサミといでたじいちゃん、かっこよかったから」

「そっか」

「あと、ブーケつくるばあちゃんととうさん、かっこいいから」

「……そう?」

「うん」


 藤也の手元の雪玉がぼやけて見えた。

 俺は眼鏡を外して目をこすった。


「帰ったら、じいちゃんにハサミもらいに行こうか」

「うん」


 「でも、」と藤也は続けた。


「ゆきだるま、あとひゃっこつくってからね」


 眼鏡をかけ直したら、藤也の周りに小さい雪だるまがずらりと並んでいた。


「父さんも手伝おうか」

「とうさんは、にひゃっこつくって」

「わかった」


 触れた雪は冷たくて、息子の頬は赤かった。