季節は巡り、隣のあなたはいつでも美しい

 今日、私、由紀澪は二歳の娘の花菜を連れて、近所のショッピングモールに来ていた。


「澪さーん!」

「花音さん、お待たせしました」

「うちも今来たところだよ。体調大丈夫?」

「はい、今は落ち着いています」


 義妹の花音さんの両脇には、双子の桔花ちゃんと蓮乃ちゃん。二人は花菜に気付くと手を大きく振った。

「かなちゃんだ!」「こんにちは!」

「きっちゃん、はーちゃん!!」


 三人は同い年だからか、仲がいい。

 さっそくキャアキャアと盛り上がっていた。


「フォトスポットって三階ですか?」

「そうそう、特設会場のところ。さっき通ったら混んでたよ」

「平日なのに」

「私たちも行こう!」

「はい!」


 子どもたちを集めて目的のフォトスポットに向かった。

 そう、今日花音さんと待ち合わせたのは、クリスマス向けに設置されたフォトスポットで三人を撮るためだ。


「か、かわいい……!」


 フォトスポットに着くと、花音さんが歓声を上げた。

 わかる! わかります……!!

 背景のツリーは絵かと思ったら本物のツリーだし、雪景色も雪の積もったお家や、煙突にサンタもいてかわいい!

 衣装はサンタとトナカイに天使、そしてなぜか悪魔。……なぜ?


「かなはしろ!」

「きっちゃん、くろ!」「はーちゃんもくろがいいなー」

「せっかくなんだからサンタとかトナカイは?」

「やら!」「くろ!」

「まあ……好きにしたらいいか」


 花菜は天使を着るというので着せて、双子の姪たちはなぜか悪魔姿になった。

 三人を並べて撮ると、これはこれでかわいい!

 混んでいたけど、撮れるだけ撮った。




「お兄ちゃんも来たがったでしょ」


 一通り写真を撮り終えたあと、フードコートで昼ごはんを食べていたら花音さんが言った。


「はい、行きたいって出る直前まで言ってました」

「やっぱり。お兄ちゃん、ミーハーだからこういうの好きなんだよねえ。レストランとかカフェのクリスマスメニューも好きだし」

「ええ、花菜がお子様ランチを食べたがったので、国旗のピックをオムライスに刺したのですが、瑞希さんにも刺したら大喜びでした」

「あはは、好きそう」

「藤乃さんはそういうのはないですか?」


 笑う花音さんに、何の気なしに聞いたら、なぜか苦笑してしまった。


「藤乃さんは、私にしたがるんだよね。親子でお揃いのシャツとか、私と藤也や、私と桔花と蓮乃に着せたがるし。子供三人でお揃いにさせて、私とリンクコーデとか。で、自分は着ない」

「……なんとなく想像がつきます」


 義弟にあたる藤乃さんは穏やかで物静かな人だ。

 自分から輪に入っていく方ではないというか。


「ふじのくん、かあいいよね」


 ポテトをかじっていた花菜が、突然口を挟んだ。


「かわいい? かっこいいじゃなくて?」

「うん。ふじのくんはかあいい。とーやくんはキザ」

「わ、わかる……」


 花菜の失礼な発言に、花音さんは笑い出してしまった。

 というか、キザなんて言葉、どこで覚えたの……。


「すみません、花菜が失礼なことを」

「ううん、わかるから大丈夫。あのね、藤也ってお兄ちゃんに似てるんだよね。やんちゃで、かっこつけたがりなところ。ごめんね、澪さんの旦那さんに」

「いえ、わかりますが」


 わかる。わかってしまった。

 一見ガサツな瑞希さんだけど、かっこつけたがるし、明るくてさっぱりしてるけど、甘党でミーハーだ。そうか……藤也くんは、そういう男の子なんだ。


「花菜ちゃんは藤乃さんのことかわいいって思うの?」

「あのね、かのんちゃんにおはなわたすときにニコニコしてるの、かあいい」

「あー……」


 子どもって、本当によく見てる。


「おにいちゃんねえ、きっちゃんとはーちゃんにあまい」

「かあさんはおこるけど、おにいちゃんはあそんでくれる」

「……昨日、風呂から出なかったときの話かな?」


 桔花ちゃんと蓮乃ちゃんが藤也くんの話を始めて、花菜もなぜか頷いていた。


 私には兄妹はいないし、実母が私から見て叔父と仲が良くないから、ちょっとよくわからなかった。

 でも、瑞希さんと花音さんや、藤也くんと桔花ちゃん蓮乃ちゃんを見ていると、楽しそうに思えてくる。


 そっとお腹を撫でた。

 たぶん、君の姉さんや従兄姉たちは、君を大事にしてくれると思う。