季節は巡り、隣のあなたはいつでも美しい

「ぎゅうにゅ!」「ここあ!」


 二歳の双子の娘達が、私、須藤花音の足元で騒いでいた。


「ごはん前だからダメ」

「やだ! きっちゃん、ぎゅうにゅ、ほしいの!」

「はーちゃん、ここあ!」

「ダメ」


 ごねる声を聞き流して晩ごはんを用意する。

 いつもなら相手をしてくれる義父母は町内会の会合で不在だった。


 そろそろごはんが炊けるかな……という頃に、夫と長男の藤也が帰ってきた。


「ただいま」

「ただいまー」

「ぎゅうにゅ!」

「ここあ!」

「手を洗ってくるから、ちょっと待って。藤也も先に手洗いうがい」


 娘達が私の足元から離れた。

 今だ!!

 急いで汁物を配膳し、おかずをよそう。

 でも、洗面所から戻った夫は一人だった。


「子どもたちは?」

「藤也にへばりついてる。俺は牛乳もココアも出さないの、わかってるんだろ」

「ふふ」


 思わず笑ってしまった。

 私にも心当たりがある。

 オヤツや遊び、そういうちょっとしたことは、忙しい両親ではなく兄にねだっていた。


「おにーちゃん、ぎゅうにゅ」

「はーちゃんはここあ」

「しょうがないなー」


 藤也が台所で双子たちと、ちゃっかり自分のコップも取り出した。

 顔は夫にそっくりなのに、仕草が私の兄と瓜二つで、つい見守ってしまいそうになるけど、それはそれ。


「藤也、ごはん前に牛乳とココアはダメ。お茶にして」

「だめだって」

「えー」「やだー」

「おちゃいれるから。きっちゃんとはーちゃんは、ふりかけえらぼう?」

「あんぱん!」「ぴかちう!」


 藤也はふりかけの袋を双子にそれぞれ渡して選ばせていた。

 五歳にして兄なのが面白いやらかわいいやら。


「藤也はふりかけどうする?」


 夫が藤也にもふりかけを選ばせていた。

 晩ごはんを終えたら、三人に温かいミルクとココアを出そう。

 夫はコーヒーがいいだろうか。