花音ちゃんが出産して一週間が経った。

 ついに退院ということで、俺は休みをもらって花音ちゃんと藤也を迎えに行った。


「手続きは大丈夫です。帰りましょう、藤乃さん」

「うん。チャイルドシート、つけてきたよ。泣かないといいけど」


 藤也はぽやっとした顔で花音ちゃんの腕に抱かれていた。

 駐車場で抱っこを代わって、藤也をチャイルドシートに乗せる。

 チャイルドシートに対して藤也が小さくて、本当にそれでいいのか不安になった。


「産まれて一週間ですし、そんなもんですよ」

「そうかなあ。とにかく帰ろうか」


 いつもよりかなりゆっくり運転して帰った。

 藤也はぽやっとした顔で外を見ていた。

 人生初の車で、人生初の外だ。それは、この赤ん坊の目にどう映っているのだろう。