夏の終わり、俺、由紀瑞希が昼飯の皿を洗い終えたときにスマホが震えた。


「おー、久しぶり」


 相手は高校の時のクラスメイト。要件は同窓会の誘い。


「はいよ。藤乃は? へえ、珍しい。わかった。細かいことは後で送っておいて」


 電話を切ると、澪が俺を見上げている。

 親父は畑に行ってて、母親は二階で掃除機をかけてる。


「どした?」


 聞きながらキスしたら、「ち、違います!」と顔を赤くした。


「してほしくて待ってるのかと思ったんだけど」

「違いますよ。来週、地域の青年会の集まりがあるから、伝えに来たんです」

「マジか。あ、来月、高校の同窓会あるらしいから行ってくる」

「承知しました。……須藤さんもご一緒ですか?」

「うん、あいつそういうの嫌いなんだけど……まあ、いいや。青年会あるならそこで聞いてこよう」


 歩き出すと澪もついてきた。

 玄関で見送ってくれたから、もう一度キスしたら、今度はふにゃっと溶けた顔になった。

 ……さっきとの違いがわかんねえな。