でも、この箸、どうすんの。二人で?交互に?
「……佐野、手で食べてよ」
「汚れんだろーが」
間髪入れずに拒否。
まあ、別に。唇と唇を合わせるわけじゃない。箸の共有なんて、小学生でもやってる。
そう、自分に言い聞かせながら、一口だけ麺をつまんで口に運ぶ。
そして、箸を佐野に渡した。
佐野は受け取るなり、
え、そこまで掴む?って量を箸でまとめて、ためらいもなく大きく口を開けて放り込んだ。
……口、でか。
「なんで焼きそばなの?普通、クレープとかじゃないの?」
「俺が食べたかったんだよ。文句言うな。それに、お前はこっちの方が似合う」
「歯に青のりつくんですけど」
似合うとかじゃない。そう突っ込みつつ、また箸を受け取って慎重に麺の下の方から選ぶ。青のりは避けたい。メイド服が泣く。
そうやって、佐野とあたし、パックを受け渡しながら、交互に口へ運んでいく。
麺をちまちま口に運ぶあたしと違って、佐野は豪快。迷いなし。男ってみんなこうなの?って一瞬思ってしまう。
普段は、食べ物を口に入れてない時、薄い唇をきゅっと結んでいて、なんか近寄りがたいのに。 今は、信じられないくらい大きく口を開けて、執事の格好で焼きそば食べてるとか、ギャップがひどい。


