ロマンスに、キス




佐野は完全に“どうすんだよ”って顔して、あたしの反応を待っている。そのくせ、目だけはちゃんとあたしの目を見ていて、逃げ場がなくなる。


……くそ。今日のあたしは、イライラしすぎてエネルギーを使った。
なんかもう、お腹も減ったし、こういう時くらいは甘えてもいいでしょ。



「……仕方なくね」



佐野は鼻で笑って、ぽきっと割った割り箸を差し出してくる。



「怒ってんなら糖分とっとけ」

「焼きそばって糖分なの?」

「知らん。なんか入ってんだろ」



ほんと適当。

パッと見ると──



「…青のり入ってんじゃん。最悪」

「文句言うなら、返せ」



返さない。青のりまみれの上部分は佐野用に避けて、下の安全圏から食べることにする。青のりが嫌いとかじゃない。今はメイド服だから。歯についたら死ぬ。



「あ…もしかして、箸これしかない?」

「ん。だから早く食べろよ」



は?なんでそういうとこだけ気が利かないの。
……いや、そもそもあたしが来るなんて思ってなかったんだろうし、責めても仕方ないけど。