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文化祭当日。
朝からずっと走り回ってて、目が回りそう。ほんとは、もっと余裕ぶって、ゆったり微笑んで、清楚なメイドさんをやりたかったのに――現実は、戦場。
「お姉さん、かわいいね、インスタとかしてない?」
普段なら、こういう軽いナンパも、表情ひとつで転がす余裕くらいある。でも今日は無理。忙しさで心が削られている。
「えっと、SNSしてないんですっ」
自分でも“一瞬でバレる嘘”って分かる言い方だった。案の定、「絶対嘘でしょ〜!」と笑われ、そのまま腕を掴まれる。
――触らないでほしい。今日は特に、心がささくれてる。
落ち着け。大丈夫。 拳を目に見えない角度でぎゅっと握りしめ、ぐっと息を整える。
「じゃあ、お兄さんがいーっぱいお金使ってくれたら、教えてあげてもいいよっ?」
少しだけ口角を上げて、“天使の柏谷さん”を発動。
これで男は落ちる。
案の定、手がパッと離れて、顔まで赤くして、
「じゃ、じゃあ、これと…こっちも…!」
……はい、思うツボ。


