ロマンスに、キス




結果が出れば、みんな素直に褒めてくれる。とくに女子に褒められる瞬間は、最高。男から褒められるより何倍も嬉しい。 ちゃんと見てくれてる気がするし、認められたって思えるから。



「太らない体質だったりする?」



メジャーを持った子が、うらやましそうに首をかしげてくる。



「そんなことないよ。最近、お肉ついてきたしさ」



そう言いながら、全くついていない脇腹を軽くつまんでみせる。

わざとらしい?
……でも、このくらいがちょうどいい。 少しだけ“隙がある感じ”を残しておくほうが、可愛げがあるでしょ。

案の定、周りの女子が「どこに!?」「細いのに〜」とざわつく。



「ダイエットって、なにしてるの?」



興味津々、というより憧れの視線。
教えてあげようかと思った。


でも――思い直す。

お菓子禁止だとか、夜サラダだけだとか、毎日走って筋トレしてプロテイン飲んでるとか…。そんなの話したら、絶対に「え〜無理〜」「私にはできないな〜」って返ってくる。

分かってる。努力を軽く扱われるの、嫌い。それに、努力してることは見せびらかしたくない。
黙ってやって、黙って結果だけ見せる方が、あたしは好き。

ほんの一瞬迷ってから、笑って言った。



「ん~とね……ヒミツ」



――その瞬間、教室の空気がふわっと甘くなる。

秘密を持つ天使は、もっと特別に見える。