本編が始まって、作戦開始。
大きな音が鳴るたびに、「きゃっ」なんて声を出して佐野の腕にしがみつく。
横目で見ると、佐野は微動だにしない。あたしがしがみついてるのに。
人間とは思えないものが出てきた場面で、「佐野、こわい…」と、目を瞑って制服をぎゅっと握りしめる。
――どう、これで少しは意識するでしょ。
そう思ってチラッと見上げても、やっぱり無表情のままスクリーンを見ている。
なんか、バカらしくなってきた。
横を見ると、今度は頬杖をつき始めていた。
ほんと、バカみたいだな、あたし。
やめだ、やめ。佐野にこんなことしたって無駄。
映画に集中することにしたら、全然怖くなくて、 結局一度も驚くことなく終わってしまった。
計画失敗。
天使の演技も、か弱いフリも、全部無駄。
この男には、何をしても効かないらしい。


