負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 試験初日が終わったけど、明日も明後日も続く。

 家で勉強してたら、スマホが震えた。


「なによう」

『監視。8日目でサボるな』

「ウザ」


 スマホをスタンドに立てて、勉強を続ける。

 眠い……。


『寝るな、バカ犬』

「うっさいな。寝てないし、ちょっと瞬きしただけ」

『言い訳がバカそのものだな』

「もうちょっと優しく言えないわけ?」

『先輩は、誰かに優しくしてもらえるほど、他人に優しくしてた?』


 ……なにそれ。

 颯は私が優しくないから、優しい柊ちゃんを好きになったのかな。


『はー……ウザ。なあ、メイサちゃん?』

「えっ、キモ」

『この駄犬』

「ご、ごめん、びっくりしちゃった」


 だって、いきなり名前で呼ばれたから!

 たしかに私は、優しくなかった。

 というか、甘えてたんだと思う。

 颯にも、柊ちゃんにも。

 ……たぶん、こいつにも。


「籐也くん」

『はいはい』

「三角関数のグラフなんだけどさ」

『1年にする質問じゃねえ……えっと、教科書の三角関数のとこ、開いて』


 ……ぶつくさ言いながらも一緒に考えてくれるこの1年生は、クソ生意気でホントにムカつくけど、私よりずっと優しい男の子だった。