負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 朝、学校に着くと須藤が校門のところで座り込んでいた。


「何してんの」

「……昨日ダサかったから、謝ろうと思って待ってた」

「ウケる。私、あんたのことかっこいいって思ったことないから、いいよ別に」

「ひっでえ」


 須藤が泣きそうに笑うから、手を差し出した。

 握られた手を引くと、彼はすぐに立ち上がった。

 手を繋いだまま門をくぐって歩いていく。


「今日で41日目。どう? メイサは勝てそう?」

「わかんない。颯と柊ちゃん見ると凹むし」

「別に、無理に忘れなくていいだろ」

「そうかな」

「上書きできるようにするしかないだろ」

「……上書きかあ」


 あんたが、上書きしてよ。

 そう言えたら、たぶん私は負け犬じゃなくなるんだろう。

 でも今の私は、颯と柊ちゃんから目を逸らすことしかできない。


「須藤はさ、上書きできるような相手、いる?」

「さあ。上書きしてくれたらおもしろいなって相手はいる」


 手をキュッと握られる。

 おもしろいって、なにさ。

 冗談かもしれないし、その場のノリで言っただけかもだけど、でも、こいつは私のハニーだから。


「慰めてあげようか、ハニー?」

「今更先輩ぶるなよ、負け犬のくせに」


 須藤の笑顔はやっぱり泣きそうで、つないだ手は痛いくらいに強く握られいて、言い返す気になれなかった。