負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 サッカー部の朝練を終えて部室棟を出たら、見慣れた後ろ姿が少し先を歩いてた。


「須藤ー、おはよー」

「おー……、37日も経つと笑顔が自然に出るようになるな」


 振り向いた須藤はふっと微笑んで私を見下ろす。


「そう? かわいい?」

「うん。めっちゃかわいい」

「えっ、あっ、そっか」


 思ったより褒められて、どうしよう。

 須藤のことだから、絶対ひねくれたこと言うと思ってたのに。


「なにくねくねしてんだよ」

「いや、褒められると思ってなかったから、びっくりした」

「はあ? 別に褒めたわけじゃねえけど。なに、あんまりかわいい言われない?」

「普通、言われないと思う」


 須藤は「ふうん」とどうでも良さそうに頷いた。


「まあ、そうか。うちの親父がそういうのポンポン言うから、そんなもんだと思ってたけど、違うよな」


 須藤は少し唇を尖らせて、遠くを見てた。

 あのイケオジ、かわいいってポンポン言うのか。


「あ、誰にでもじゃねえよ? お袋にだけな」

「わ、そうなんだ、いいねえ」


 素敵だなあ、自分の奥さんにだけ、しょっちゅうかわいいって言うイケオジ。


「言われたい?」

「うん。彼氏とか好きな人にはかわいいって言われたいよ」

「俺は、そう思ってるのがかわいいと思う」

「んん?」


 ダメだ、意味わかんない。

 今の、私にかわいいって言った?

 いや……気のせいかな……このドキドキ、なんなの……。