負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 今年最後の部活を終えて、私は須藤と並んで歩いていた。

 須藤はいつもどおり自転車を押して隣を歩いている。

 ふと冷たい風が吹き抜けた。


「うー、寒い」

「なに、手え繋ぐ練習してほしいって?」

「そ、そんなこと言ってない!」

「今日で20日なのに、あんたは全然勝てそうにねえなあ」

「うっさ!」


 でも、そうだよね。

 恋に強い女の子なら、きっと、ここでかわいく甘える!


「須藤くん、寒いから……手、つないでくれる?」


 なんとかそう言って須藤を見上げる。

 どうせニヤニヤしてるんでしょって思ったのに、須藤は目を丸くして私を見下ろしていた。


「えっ、どしたの?」

「やればできるじゃん」

「えらそうに!」

「はいはい。うわ、手え冷たいな」


 須藤が想像より柔らかい顔で私の手を取った。

 その手は温かくて、大きい。


「えへ……」

「んだよ、ニヤニヤして」

「なんでもないよ!」

「その顔は、80点」


 そのあと黙ったまま手をつないで駅まで歩く。

 名残惜しいけど手を離した。


「良いお年を、須藤!」

「はいはい、良いお年を、メイサちゃん」


 ヒラヒラと手を振って、須藤は自転車に乗った。

 広い背中を見送る。