負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

「はい、今日で11日目、二桁になったから、勝ちに行く練習するぞ」

「勝ちに行く練習……」


 サッカー部の練習を終えて帰ろうとしたら須藤に掴まって、駅前のメックに連れて来られた。


「何すんの? ていうか、土曜日なのになんでいるの?」

「園芸部も土曜日は水やりあるから。柊先輩も来てんの知ってるだろ」

「知ってたけどさ、何してんのかなって思ってた」

「もうちょい周りを見ろ。いや、今は俺を見ろ」

「は?」


 須藤は手にしていたポテトを口に放り込むと、まっすぐに私を見た。


「勝ちたいんなら、好きな相手の顔を見つめろ。男って単純だからさ、じっと見られたらそれだけで気になるもんだし」

「なるほど!」


 食べかけのハンバーガーをトレーに置く。

 まっすぐに須藤を見つめてみる。


 そういえば友達が、須藤籐也は1年で1、2を争うイケメンで、すっごいモテるって言ってたな。

 私からすればクソ生意気でムカつく後輩だけど。

 たしかに切れ長の一重はちょっときついけど、顔立ちは整ってる。

 身長も180あって、学年3位の成績とくれば、人気も出るのかも。

 なんでそんな人気者に、私はこんなに罵られてんだろ。


「おい」

 気づいたら、目の真ん前で須藤が睨んでた。

「んえ」

「お前、ぜんっぜん違うこと考えてただろ」

「……ごめ、てか近い」

「なっ……」


 須藤が気まずそうな顔で目を逸らした。

 こいつ、こんな顔もするんだ。

 ちょっと新鮮で、おもしろかった。