きらめきは隣にいる

5話

星奈の回想から始まる。4話の最後、コンビニの近くで碧と別れたシーン。

星奈『その、中にあるやつ! いらなかったら捨ててもいいから!』

〇星奈の部屋(夜)

部屋着姿の星奈が床に置いたクッションの上に座ってスマホを見ている。

星奈M『あれから』
星奈M『ほぼ毎日、湊くんとやり取りするようになった』
星奈M『学校であった話とか、友達の話とか、バイトの話とか、お互いの趣味の話とか、将来の話とか』
星奈M『湊くんと話すのは楽しい』
星奈(わたしのことなんでも知りたがるのは、ちょっと困るけど…)
星奈M『でも、わたしも同じようにもっと湊くんのことを知りたいって気持ちもあって』

〇時間経過。学校の教室(昼)

星奈と友達の美羽が机を向かい合わせにしてお弁当を食べている。

星奈「そんな感じなんだけど、どう思う?」
美羽「今度は星奈から告白して付き合う一択でしょー」
星奈「うっ…」
美羽「なにその反応ー? いやなの?」
星奈「いやじゃないよ。ないんだけどー…」
星奈「1回ふっちゃったのに…やっぱり好き付き合ってなんていいのかな…」
美羽「いいんじゃない?」
星奈(即答!?)
美羽「美羽のお姉ちゃんも、彼氏の告白1回断ってるらしいよー。押しに負けて付き合い始めたんだけど、いまではお姉ちゃんのほうが彼氏大好きだし、幸せそうにやってるよ」
星奈「そ、そうなの…?」
美羽「そーそー。だから、そんなに深く考えなくてもいいんじゃない? 陰キャくんも喜びそうだし」
星奈M『美羽には、湊くんがそらねむだってことは教えてない』
星奈M『顔出しとかしてないし、内緒にしておいたほうがいいのかなって』

ニヤニヤしながら星奈を見つめる美羽。

星奈「…なに?」
美羽「星奈、恋するとそんな感じになるんだねー。かわいい」
星奈「真剣に相談してるのに…」
美羽「すねてるーめずらしー」
星奈「もー…」

〇時間経過。星奈の部屋(夜)

ベッドに寝転がりながら碧(そらねむ)の曲を聴く星奈。

星奈(美羽は、ああ言ってたけど…)
星奈「あーーーどうしよーーー」

星奈が枕に顔を埋めてもだもだしているとL〇NEの通知音が。
碧から「明日、バイト終わったら少し話せますか?」ときている。

星奈(こ、これって…!)
星奈「そういうこと…かな…?」
星奈(だって自惚れじゃなければ前より仲良くなれた気がするし、なんかちょっといい感じだし、諦めきれないって言ってたし、タイミングもよすぎるし…!)

ため息をついた後、両手で頬を叩く星奈。碧にスタンプでOKの返事を返す。

星奈「…覚悟、決めよう」


〇時間経過。翌日。ファミレスのバックヤード(夜)

バイト終わりの碧に声をかける星奈。

星奈「湊くん。お疲れ様」
碧「お疲れ様です」
星奈「昨日言ってた話って、なに?」
碧「ああ…ここじゃ話しづらいんで、別の場所に行きませんか?」
星奈「うん、いいよ。じゃあ、どうしよっか。ここ以外に開いてるお店…」
碧「あ…出来れば人がいない場所がいいんで…あそこの公園とかどうですか? 櫻井さんの帰り道の途中にある、うさぎの乗り物みたいなやつがある…」
碧「あっ、あっ、大丈夫です! 絶対に変なことはしないし、危ない目にもあわせないんで…!」
星奈「心配なんかしてないよ。…湊くんには、守ってもらったこともあるし…」

星奈の言葉を聞いてほっとする碧。

碧「じゃあ…行きましょうか」

〇帰り道(夜)

ファミレスを出て公園に向かって歩き出す星奈と碧。

星奈「寒いねー。もうすっかり冬だ」
碧「ですね」
星奈「冬が終わって春がきたら、わたしも高3かぁ」
碧「進学先…何校かで迷ってるんですよね?」
星奈「うん。調理科がある所とは決めてるんだけどね。あとは…一人暮らしするかどうかとか」
碧「…そんな遠くに行くんですか?」
星奈「ううん。どこもいまの家から通える距離ではあるんだけど、1回経験してみた方がいいのかなって」
碧「そうなんですか…」
星奈「…家の場所特定しようとか考えてない?」
碧「そんなことないです」
星奈「ほんとに?」

そんな話をしながら歩いていると、あるお店の中から碧(そらねむ)の曲が流れているのが聞こえてくる。

星奈「ねえ! これ、湊くんの曲じゃない?」
碧「そうですね…この前上げたやつだ」
星奈「1個前の曲も、新しい曲もたくさん聴かれてるんだねー。すごい」
碧「(照れくさそうに)ありがとうございます…」
碧「あんな陽キャがいそうな店で流れるなんて、考えてもなかったです」
星奈「湊くんが作る曲、どれもいい曲だもん。あれだってすっごく可愛いし」
星奈(わたしのこと歌った曲が流れてるって、なんかちょっと恥ずかしいけど…)
星奈「湊くん、どんどん大きくなっていくんだろうね」
碧「…………」
碧「そうなれたら嬉しいですけど…でも…」
星奈「あ、着いたよ」

公園前に到着する星奈と碧。星奈が先に中に入りブランコに座る。

〇公園(夜)

星奈の隣のブランコに座る碧。

星奈「わたしも頑張らないとなー。湊くんに置いていかれちゃう」
碧「…俺は、置いていくつもりなんてないですけど…」
星奈「あはは、言うと思った。なんか最近、湊くんの考えてることちょっとわかるようになってきたかも」
星奈「…ねえ、湊くん。わたしに告白してくれた日のこと、覚えてる?」
碧「…はい」
星奈「あの時のわたしは、びっくりしたのと…正直、湊くんのことそういうふうに見れなくて、断っちゃったんだけど」
星奈「でも、あの時よりも湊くんのことを知っていくうちに、どんどんす…」
碧「ちょ、ちょ、ちょ、っと! 待ってください!!」
星奈「え? な、なに?」
碧「え、ねえ、それって……。ちょっと、待ってください」

大きく深呼吸した後、口を開く碧。

碧「…正直、櫻井さんからそんなこと言われそうになるとは思わなかったです」
碧「俺、恋愛とかよくわからないし、前よりは仲良くなれてる気がしてたけど、まさか、そんな…」
星奈「…え?」
碧「え?」
星奈「え、えっと…あの…話したい、ことって…?」
碧「…次の曲、どうするか悩んでて…。デモのストックが2曲分あるんで、それ聴いて貰って、櫻井さんの意見も聞きたいなって…」

固まる星奈のコマ。

碧「櫻井さん…?」
星奈M『か』
星奈M『勘違い…?』
星奈(え、うそ、ほんとに?! だってそういう感じだったようなそうじゃないような気がしたような…!)
星奈M『……やっちゃった…』
星奈「あぁ~……」

赤くなった顔を覆う星奈。

碧「…櫻井さん、はやとちりとかするんですね。意外です」
星奈「……湊くんに対してだけです」
碧「…可愛い」
碧「…さっきも言ったように、俺、櫻井さんを置いてなんかいきません。ずっと俺のこと見ててほしいし、夢を追ってキラキラしてる櫻井さんのことも、ずっと隣で見ていたいし…」
碧「他のやつになんか、絶対に渡したくない。ずっと俺の…俺だけの櫻井さんでいて欲しいです。…難しいでしょうけど…なんていうか、精神的に…」
碧「だから…俺と、付き合ってください」

嬉しそうにはにかむ星奈。

星奈「……はい」

〇時間経過。2年後。街中(昼)

2大学生になった星奈が人混みの中を歩いていると街頭モニターにそらねむの新曲のMVが流れる。
そらねむのMVでは初めての実写映像。可愛いお菓子がたくさん出てくる。

星奈が持ったスマホの画面にはL〇NEのトーク画面。
碧から「もうすぐ着きます」とメッセージが届いている。