夜と最後の夏休み

 つい笑ってしまって二人に睨まれた。


「美海?」


 ジト目の詩音が低い声を出した。


「ごめん。だって詩音とほのかって話すの初めてだよね? 初対面で仲悪すぎでしょ」


 あはは。堪えきれなくて思いっきり笑ってしまった。

 詩音は目を丸くしてほのかに振り返った。ほのかも同じように目を丸くして、詩音と見つめ合った。


「台無しじゃん。美海さあ、もう」

「ほんと、しょうがないなあ美海ちゃんは」


 二人は呆れたような声を出して、それから同じように笑い出した。

 三人でひとしきり笑ってお腹が痛くなってひーひー言ってたら、遠くから夜とニャンタカが戻ってきた。


「ほのか」


 私はまだちょっと笑いながら、ニャンタカを指さすした。やってきたニャンタカはきょとんとした顔で立ち止まる。


「あんたの彦星、迎えにきたよ」

「違うし! もういい。帰ろう孝寿」

「ええ、なんなの」


 ニャンタカはぶつくさ言いながらも、ほのかの後を追って行った。

 私はため息を吐いてから、ほのかと入れ違いでやってきた夜を睨んだ。


「よーるー! ほのかが面倒だからって私と詩音に押しつけて逃げたでしょ」

「う、ごめん」


 夜は視線をさまよわせてから、でも最後に私と詩音を見て頭を下げた。


「大変だったんだからね? っとに! 罰として私と詩音にアイスおごって。明日でいいから」

「ごめん。わかった。明日、また美海の家に行く」

「よろしい。詩音もそれでいい?」


 横でまだちょっと笑っている詩音に聞くと、詩音は「いいよ」と頷いた。


「疲れちゃった。帰ろう」


 まだ笑っている詩音の手を引いた。

 反対の手を困った顔で立ち尽くす夜に差し出すと、夜はちょっとほっとした顔で手を取ってくれた。