夜は、ほのかに話しかけられた途端、はじかれたようにわざとらしくニャンタカと人混みに消えてしまった。消える間際にごめんと口パクするのが腹立たしい。
えー……どうすんのこれ。めちゃくちゃ目を細くした詩音と、唇をかむほのかと共に残されてしまった。
「詩音、川下の方に行ってみようか。ほのか、またね」
「ん」
恐ろしく静かな詩音の腕を引いて、その場を離れようとした。けどほのかは真っ直ぐに私と、そして詩音を見た。
「二人は佐々木くんと仲がいいんだね」
「幼なじみだから」
なんかもう怖いので無難に答えた。そんなこと、ほのかにはお見通しで引き下がってはくれなかった。
「矢崎さんは違うでしょ。美海ちゃんだって本当にそれだけ?」
ほのかの燃えるような目になんだか無性にイラッとした。うるさいなあ、もう。知らないよ。ああ、そうか。夜もこういう気持ちなんだ。私と夜、詩音と夜の間がどうかなんてほのかに関係ない。
「さあ、どうだろうね」
だからつい。つい挑発してしまった。
横で詩音が吹き出した。
「えと、田崎ほのかさんだっけ。視野が狭い。夜以外の人のことも見てみなよ」
「は? よそ者が口を挟まないで」
地を這うような声が、ほのかの口からこぼれた。
怖いという気持ちと苛立ちと、あとちょっと面倒くさい。私は少し夜に似てきたのかもしれなくて、そう思うと自然と笑みがこぼれた。
そんな私をよそに詩音がほのかに向き合った。詩音とほのかは相性悪いだろうなー……。他人事のように思った。
詩音は中性的な子だ。ベリーショートの髪にすらっとしたパンツスタイル。きりっとしたつり目に、はっきりしたしゃべり方。背も高いし男の子だったらときめいていたかも。女の子だってわかっていても、たまにドキッとしちゃうくらいだし。
一方のほのかは真逆。ふんわりしたロングヘアをゆるいお団子にして、裾の広がったかわいらしいワンピースを着ている。大きくてきらきらの目に、普段はいかにも女の子な舌足らずなしゃべり方。自分の小柄な外見を目一杯かわいらしく見せている。ただ、ちょっと猫かぶりでギャップが激しいだけだ。
そんな正反対な二人が火花を散らしている。おっかしーなー。初対面のはずなんだけどなー。
「よそ者にもわかることがわからないくらい、自分の視野が狭いって気づきなよ」
「な、なにそれ! なんにも知らないくせに」
「知らない。知らない相手に、八つ当たりしないで」
やばい……こわい……。
二人の顔を見比べた。詩音は無表情でほのかを見据え、ほのかの方は口をへの字にして目は燃えさかっていた。
なるほどこれがキャットファイト。昨日見たドラマで知った言葉だ。
「ふふ、仲悪すぎ」
えー……どうすんのこれ。めちゃくちゃ目を細くした詩音と、唇をかむほのかと共に残されてしまった。
「詩音、川下の方に行ってみようか。ほのか、またね」
「ん」
恐ろしく静かな詩音の腕を引いて、その場を離れようとした。けどほのかは真っ直ぐに私と、そして詩音を見た。
「二人は佐々木くんと仲がいいんだね」
「幼なじみだから」
なんかもう怖いので無難に答えた。そんなこと、ほのかにはお見通しで引き下がってはくれなかった。
「矢崎さんは違うでしょ。美海ちゃんだって本当にそれだけ?」
ほのかの燃えるような目になんだか無性にイラッとした。うるさいなあ、もう。知らないよ。ああ、そうか。夜もこういう気持ちなんだ。私と夜、詩音と夜の間がどうかなんてほのかに関係ない。
「さあ、どうだろうね」
だからつい。つい挑発してしまった。
横で詩音が吹き出した。
「えと、田崎ほのかさんだっけ。視野が狭い。夜以外の人のことも見てみなよ」
「は? よそ者が口を挟まないで」
地を這うような声が、ほのかの口からこぼれた。
怖いという気持ちと苛立ちと、あとちょっと面倒くさい。私は少し夜に似てきたのかもしれなくて、そう思うと自然と笑みがこぼれた。
そんな私をよそに詩音がほのかに向き合った。詩音とほのかは相性悪いだろうなー……。他人事のように思った。
詩音は中性的な子だ。ベリーショートの髪にすらっとしたパンツスタイル。きりっとしたつり目に、はっきりしたしゃべり方。背も高いし男の子だったらときめいていたかも。女の子だってわかっていても、たまにドキッとしちゃうくらいだし。
一方のほのかは真逆。ふんわりしたロングヘアをゆるいお団子にして、裾の広がったかわいらしいワンピースを着ている。大きくてきらきらの目に、普段はいかにも女の子な舌足らずなしゃべり方。自分の小柄な外見を目一杯かわいらしく見せている。ただ、ちょっと猫かぶりでギャップが激しいだけだ。
そんな正反対な二人が火花を散らしている。おっかしーなー。初対面のはずなんだけどなー。
「よそ者にもわかることがわからないくらい、自分の視野が狭いって気づきなよ」
「な、なにそれ! なんにも知らないくせに」
「知らない。知らない相手に、八つ当たりしないで」
やばい……こわい……。
二人の顔を見比べた。詩音は無表情でほのかを見据え、ほのかの方は口をへの字にして目は燃えさかっていた。
なるほどこれがキャットファイト。昨日見たドラマで知った言葉だ。
「ふふ、仲悪すぎ」



