「ここであってるのかな...?」

そわそわしながら、ベンチにちょこんと座る。

本当なのかなっ...。

そして、のわの家宛に来た、一通の手紙を見つめる。

『桃瀬乃羽様。乃羽様は、Heart♡Monsterの、「わのん」の代わりに任命されました。□月△日、最低限の荷物を持って◯◯公園のベン

チにお座りください。』

訳も分からず一昨日来た手紙...。

勢いできてしまったけど、誘拐されてしまうかもしれないし、何が起こるか分からない。

少し、背筋がびくんと震えた。

やっぱり帰ろうかな...。

そんなことを思っていると、

「わのん...さんですか?」

「わわっ、!えと...。」

これって、わのんちゃんの代わりって書いてあったから、わのんちゃんって言っておいたほうが良いのかな、?

「はいっ、!」

そしたら、「やっぱり!!」って勢いよく返されてしまって、。

やっぱり、本当は違います!!って言った方が良いのかな..。

でも、勝手に話が進められちゃって...

(何の話をしているのか、のわには聞き取れない..苦笑)


それから...いつのまにか、入学案内って書かれた冊子とスーツケースを、持たさせられていて、「桜野学園」と書かれた建物の前にいた。

さっきのお姉さんが、にこにこしながら言った。

「ここが、桜庭野々さんの寮のお部屋です!!」

え...だっ..違うのに...

って、案内されたときには、もういまさら「違いますっ!!」なんて言えなかった...。

のわは人見知りだし、強く言い返せない。

でも...

ゆわが行方不明になる前日に、「一緒に、芸能界に入ろうっ!!そして、世界中のみんなを楽

しませようっ!!」って。もしかしたら、叶えられるかもしれない...っていう気持ちが、心の

なかでぽつんと輝いてて...。

のわは、そのスーツケースと冊子をぎゅっと握りしめて...本当はのわの部屋じゃないはずの

扉を、そっとゆっくり開けたんだ。