「誠から話を聞いたよ。怖がらせるようなことを言って申し訳ないが、今の状況をもっと深刻に受け止めたほうがいいと思うんだ。最近のストーカー行為は、昔より展開の予測がつきにくい上に、エスカレートするも早くなっている」

専門家の厳しい見解に息がつまった。
そんなに危うい状況だなんて、自覚していなかった……。

「引っ越しするのも手だけれども効果は薄い。見張られていたら、転居先が知られるのも時間の問題だ。警察に行ったこともすでに知られているかもしれない。次の動き方は慎重になったほうがいいんだ」

見張られている……？

私の行動を逐一観察している人間がいるのだろうか……。
背筋がすうっと冷える。

「……千紗、だから楽観視できる状況じゃないんだ。誰かと一緒にいた方が、相手も手が出しにくいだろう？　それが専門家の湊ならなおさら安心なんだ」
「千紗ちゃん。同じ女性として言うけど……ここは誰かに頼った方がいいと思うの。万一のことが起きたら、って私たちもあなたのことが心配で不安なの」