無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜

「じゃあ戸締りは気を付けて」
「はい。湊さんも」

千沙さんと俺の身長差は、約三十センチある。
見上げてくる大きな目に、思わず引き込まれそうになる。

いつまでも眺めていたいのを振り切って踵を返す――けれども、振り返って、エプロン姿をもう一度目に焼き付ける。
きょとんという表現がぴったりの顔で、小首をかしげる彼女。

可愛い。

「……あの、何か忘れものですか?」
「なんでもない、行ってくる」

火照る顔を見られたくなくて玄関から飛び出た。

はぁと息を吐く。
俺は何をやってるんだ。
挙動不審過ぎて、職務質問されてもおかしくない。

夢みたいだけれど夢じゃない。
幸せ過ぎて辛いって、こういうことを言うのかもな。

けど、浮かれてはいけない。
千沙さんは俺を選んでくれたわけじゃない。拒まなかっただけだ。
今は俺という男を見定めてもらっている期間だ。

それに、きっと本音では体格が大きい俺のことを怖がっているに違いない。
トラウマは厄介なものだ。
これまで、犯罪被害に遭った人が心の傷を抱え続ける姿を何度も見てきたから知っている。
ほんの数週間寄り添った程度で、俺だけが特別扱いされるはずがない。