捜査として扱うには、被害の継続性を示す証拠が必要だと言われた。
私が持ち込んだのは今日の一枚だけ。
他は「怖いから」と捨ててしまっていたし、発見した時間も場所も記憶が曖昧。
無言電話も、つきまといも今のところない。
つまり、捜査の基準を満たしていなかった。

ショックと自責の念でいっぱいになった。怖かったとはいえ、せめて画像くらい残しておけばよかった。

(今日からきちんと記録をつけよう……)

と思っても、気力が起きなかった。
保育園での仕事は、夜間勤務の看護師さんのお子さんもみるため、深夜勤務もあった。
人員も多くないので、日中の勤務から早上がりし睡眠を挟んで深夜勤務へ――なんて日もあり、証拠を細かく記録する余裕なんてなかった。
何より、すぐに対応してもらえないという失望と恐怖で、心が疲れはじめていた。

そんなとき、同じ病院で働く兄、白石誠に声をかけられた。

「……千紗、なんか最近おかしいな」

私たちは七歳差で、兄は昔から両親以上に過保護なほど私を可愛がってきた。
だから私の変化には敏い。