“淫乱”“男好き”“あばずれ”。

そんないわれのない誹謗中傷が書かれたものを最初に見つけたときは、悪質な悪戯だと自分に言い聞かせた。
でも、それは一度では終わらなかった。
一週間後に同じ被害にあい、その翌週も。ポストに投げ込まれ、玄関に貼られた。
次第に頻度も多くなり、連日になるときもあった。
書かれている言葉はどれも私を恨んでいるような内容ばかり。
独り暮らしの身では、恐怖は積もる一方だった。
私は大の怖がりで、ホラーどころかサスペンス映画すらまともに見られないほどだった。
そんな人間が、毎日家に帰るのが怖くなるような生活に耐えられるはずがなかった。

ついに耐え切れなくなって、ポストに押し込まれていた紙切れをバッグに詰めて、すぐに警察へ駆け込んだ。
けれども、冷たい言葉が突き付けられた。

「これだけでは、すぐに動くのは難しいんです」