無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜

「だって今まで怖がっていたのに心を開いて頼ってくれたんだ。助けるのは当然じゃないか。だからきみも、俺のことを兄貴だと思ってすがってほしい。それなら気兼ねなくできるだろう?」

湊さんは、あの目じりが下がる優しい笑顔を浮かべた。
その包み込むような穏やかさにふれると、なんだか出会ったばかりの頃の小学生に戻るような気になった。

湊さんがもう一人のお兄ちゃん。
私は妹……。

ふいに、ちくと胸が痛んだ。

なんだろう、この気持ち……。

「だから約束してほしい。迷惑かけたくないとか申し訳ないとかって言うのはもう無しだ。俺が百パーセント安全だと思うまで、俺のそばにいてほしい」
「はい……」

有無を言わせぬような言葉に、思わずうなずくしかなかった。
湊さんはほうと息をついて、声の調子をやわらげた。

「安心したら腹が減ったな。夕食もまだだったし、これから何か食べに行こうか」
「いえ、運転しておつかれだろうし、私が何か作りますね」
「いいよ、きみだって疲れているだろう?」
「作らせてください。これから長くお世話になりそうだから、せめてものお礼です」
「そうか。うれしいな、ありがとう」

「お口に合うかはわかりませんけど」と冗談めいて笑って、私はキッチンに向かった。

そうでもして明るく振るわないと、「妹」という言葉に反応してしまった理由を考えてしまいそうだったから。