無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜



「あれ、千紗ちゃん、最近出勤時間かわったね。この時間ならもうすこし遅く来てたのに」
「ええ、実は引っ越したんです」

湊さんと同居を始めて一週間ほどが経った。
話しかけてきたのは、ひとつ年上の先輩の小林さんだった。
さばさばしていてしっかり者で頼りになる方で、子どもたちからも明るいキャラが大人気だった。

つきまとわれている可能性がある、と聞いて以来、仕事への行き返りにもピリッと緊張を覚えるようになった。
何食わぬ顔で歩きながらも、誰かにつけられていないかと窓ガラスなどをチラ見して歩くようになった。
通勤経路も人通りが多い所を通るように変えたし、足早に歩いて簡単に付けられないようにも意識した。
すべて湊さんから教えてもらった対処法だ。
それと、彼の提案のとおり、通勤経路や時間をランダムにしているのもあって、出勤時間が自然と早くなった。

まだ調査段階だし職場に厄介をかけたくはなかった。
けど、何かあった時のために直属の先輩である小林さんには、それとなく伝えておいた方がいいと思った。