無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜

変わらないひたむきな姿勢に胸が温かくなる。
料理に凝っているのも、そういった理由があるのだろう。
ほんとうに優しくて気遣いにあふれた子なんだなと実感すると、ますます想いが増していく。

朝食を終えて一緒に洗い物を済ませると、千沙さんは窓から外を眺めながらここから保育園への通勤経路と所要時間を再確認しはじめた。

「四十分くらいなら余裕をもって通勤できるかなと予想しているんですが、ここからの最寄り駅って利用する人は多い方なんですか?」
「そのことなんだけど、少し考えてほしいだ」

不思議そうな顔をする彼女に、園から少し離れた別の駅にへの経路も使うよう提案した。
通勤経路はランダムに変えたほうがいい。
決まった行動パターンをして、接触する機会を犯人に把握されるべきではないからだ。

彼女は少し納得しかねる様子だった。

「実は園の最寄り駅が一緒になる親子がいて、私と一緒に行くのを楽しみにしてくれてて……でも仕方ありませんね」
「可能なら家を出る時間もまちまちにしてほしいんだ」
「……はい、なるべく心がけるようにしますね」

あいまいな微笑みを浮かべると、彼女はスマホを取りに行こうとする。
かすかな焦りを覚えて、俺は思わず彼女を閉じ込めるように両手を窓につけた。