無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜

俺は気が気ではなくなって駆けた。
署を飛び出したところで、若者たちは彼女を囲んで寄ってたかって言い返していた。
普通なら、逃げ出したくなる状況だ。
しかしながら、彼女は子どもたちを背にかばいながらひるまずに言い返していた。
その足が震えているのが、遠目から見てもわかった。

離れているのも構わず、大声をかけようとしたその時、根負けしたのか、若者たちは悪態をつきながら、公園を去っていった。
その場にへたりこんでしまった彼女に、子どもたちが抱きついた。
笑顔ながらも半分泣きそうになっているその顔を見て、俺の中で記憶がよみがえった。

この時初めて、彼女が誠の妹の千沙さんじゃないかと思った。

すっかり大人になっていたが、大きな目が印象的な顔は小学生のころのままだったので、確信した。
何か声をかけようとしたが、子どもたちが帰ろうとしきりにねだって慌ただしく走っていったので、その時は見送ることにした。
こんなところで再会するなんて、という驚きもあった。

怖がりだった千沙さんが、あんなに頼もしい女性になっているなんて。