無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜

日課の早朝ランニングから戻ると、部屋の中にふわりと出汁のいい香りが漂っていた。

「おかえりなさい」

振り向くと、千紗さんが笑顔で待っていた。

「朝ごはん、召し上がりますか?」

テーブルには、大きな卵焼き、豆腐の味噌汁、鮭、ほうれん草のお浸し——完璧な和朝食が並んでいた。

「私、朝はしっかり食べる方なんです。よろしければ……と思って」

保育士の仕事は体力勝負だ。
出勤前にきちんと栄養を取りたいのだろう。

「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えるよ」

とはいっても、献立は俺にとってもありがたい食材ばかりだった。
卵はタンパク質そのもの。鮭と豆腐もそうだ。
味噌汁は汗をかいたあとの塩分補給にちょうどいい。
ほうれん草としめじ、人参のあえものも栄養価が高い。

どれも料理が不得意な俺にはできない献立だった。
SAT時代に作っていたものといえば、食材を焼いただけ、煮ただけのもの。体作りのことだけしか考えていない簡素なものがほとんどだった。

(……俺のことをちゃんと考えてくれているんだな……)