ドキドキが収まらないまま、湊さんの部屋に着いた。
彼の住まいは、3LDKの広々とした部屋だった。

「むさくるしい部屋ですまない」
「そ、そんなこと全然ないです」

物が少ないのもあるけれども、よく整頓されていてお掃除もしてあって、とてもきれいだった。
部屋の隅にダンベルやトレーニング器具が転がっているのが男の人の部屋なんだな……と実感させられる。
いまだにぬいぐるみを置いている自分のとは真逆だ。

全く使っていない一室を見せて私の部屋だと案内してくれると、残りの部屋と設備の使い方を教えてくれた。

そのあとは、湊さんの生活リズムを説明してくれた。
驚くほどシンプルだった。

朝六時に起きてランニング。
軽めの朝食のあと、八時に出勤。
帰宅は早くても二十時。もっと遅くなることもあり、時には署に泊まることもあるという。

やっぱりとても忙しいんだなぁと思い知らされる。
湊さんは、きっとすごく真面目で律儀な人なのだろう。
それに『市民生活の近くで事件に向き合いたい』と捜査一課にきたのもあって、警察官としての誇りや責任感をひときわ大きいにちがいない。
だから腐れ縁の兄の頼みをのんで、こんなわずかな接点しかない私との同居生活も請け負ってくれたのだ。

(……すこしでも早く解決するよう、がんばらないと)