※
同居開始の日。
緊張しながら待っていると、湊さんが車で迎えに来てくれた。
カットソーとチノパン、ジャケットというラフな服装なのに、逆三角形の背中がスタイルの良さを引き立たせていてかっこよかった。
私はさらに緊張した。
荷物はキャリーバッグひとつだけ。
湊さんはそれを片手で軽々と持ち上げて、車の後部に積み込んだ。
「……ありがとうございます」
「いい。気にしないで」
車のエンジン音にかき消えそうなほどの小さな声でお礼を言うと、湊さんはかすかに口端だけを上げた。
微笑みもやっぱりかっこよくて、背筋がひゅっとなった。
(……無理……こんな人と一緒に暮らすなんて、絶対無理……)
引っ込み思案な私は、中学も高校も地味に過ごした。
念願の保育士になるため女子短大に進み、小さな保育園に就職。ここも女性しかいなかった。
つまり恋愛経験皆無どころか、男性と交流するのも苦手だった。
唯一の例外は兄だけ。
そんな私にとって、イケメンでしかも男の中の男みたいな湊さんは、完全に免疫ゼロだった。
同居開始の日。
緊張しながら待っていると、湊さんが車で迎えに来てくれた。
カットソーとチノパン、ジャケットというラフな服装なのに、逆三角形の背中がスタイルの良さを引き立たせていてかっこよかった。
私はさらに緊張した。
荷物はキャリーバッグひとつだけ。
湊さんはそれを片手で軽々と持ち上げて、車の後部に積み込んだ。
「……ありがとうございます」
「いい。気にしないで」
車のエンジン音にかき消えそうなほどの小さな声でお礼を言うと、湊さんはかすかに口端だけを上げた。
微笑みもやっぱりかっこよくて、背筋がひゅっとなった。
(……無理……こんな人と一緒に暮らすなんて、絶対無理……)
引っ込み思案な私は、中学も高校も地味に過ごした。
念願の保育士になるため女子短大に進み、小さな保育園に就職。ここも女性しかいなかった。
つまり恋愛経験皆無どころか、男性と交流するのも苦手だった。
唯一の例外は兄だけ。
そんな私にとって、イケメンでしかも男の中の男みたいな湊さんは、完全に免疫ゼロだった。



