犬については、とにかく大きくて顔が怖くて牙がすごかったという印象しか残っていない。
怪獣に襲われたかのような恐怖体験だった。
その直後に現れたのが、当時すでに百八十センチ近くあった湊さんだった。
武術をしていたのもあって肩幅も広く、とにかく迫力があった。
おまけにきりっとした顔も真面目な表情だっただけに怖く見えて――
『いゃあああああっ!』
彼と怪獣が重なり、反射的に兄の背中に隠れてしまった。
今思えば失礼すぎて情けない。
でも、当時は本当に怖かったのだ。
私は小さい頃からほんとうに怖がりで、兄が楽しそうに観ていたヒーロー戦隊ものでも、悪役どころか制服を着た味方の司令官みたいなキャラまで怖くて、いつも兄の背中に隠れていた。
兄にはよく「へたれ」とからかわれていた。
その兄にも「おまえ、あの反応はさすがにない」と言われた。
湊さんにとっても、私は完全に「最悪な初対面の妹」だったに違いない。
謝らなきゃと思った。
けれども、不運は続いた。
怪獣に襲われたかのような恐怖体験だった。
その直後に現れたのが、当時すでに百八十センチ近くあった湊さんだった。
武術をしていたのもあって肩幅も広く、とにかく迫力があった。
おまけにきりっとした顔も真面目な表情だっただけに怖く見えて――
『いゃあああああっ!』
彼と怪獣が重なり、反射的に兄の背中に隠れてしまった。
今思えば失礼すぎて情けない。
でも、当時は本当に怖かったのだ。
私は小さい頃からほんとうに怖がりで、兄が楽しそうに観ていたヒーロー戦隊ものでも、悪役どころか制服を着た味方の司令官みたいなキャラまで怖くて、いつも兄の背中に隠れていた。
兄にはよく「へたれ」とからかわれていた。
その兄にも「おまえ、あの反応はさすがにない」と言われた。
湊さんにとっても、私は完全に「最悪な初対面の妹」だったに違いない。
謝らなきゃと思った。
けれども、不運は続いた。



