愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 言葉にしないでも、お互い思い合っている。そう思い込んで、恋人みたいな日々を三週間続けていた。社長の健康管理部なんていわれて、私だけのポジションに浮かれていた。

 ずっとこれからも、東條さんのお弁当を作れるんだって、思い込もうとしていた。

 恋人になれたとしても結婚する未来がないなら、いつかは別れるってことなのに。東條さんは、初めから私との関係に終わりがあるって、わかっていたはずなのに。
 ままごとみたいな日々に甘えていた自分が、凄く滑稽に思えてきた。

 冷えた指先を握りしめ、白い息を吐いた時、走ってくる東條さんのロングコート姿が視界に入った。

「咲良ちゃん!」

 近づいてくる顔は心配そうにしかめられている。
 そんな顔をして私を呼ぶから、勘違いしちゃうんですよ。

「ごめん、待たせちゃったよね。寒かったでしょ」

 いいながらマフラーを外した東條さんは、それを私の首にかけた。
 ぬくもりと一緒にほんのり香るのは香水なのかな。コーヒーとは違う、私の知らない匂いだ。

「車で話そう……咲良ちゃん?」

 促されても動かない私を、東條さんは不思議そうに見る。