愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「だけど、声に元気がないよ」

 スマホ越しなのに、どうして伝わってしまうんだろうか。

「大学でなにかあったの?」

 どうして、東條さんは私に気を遣ってくれるんだろう。

 婚約者がいるってことは、恋愛なんてする気がないってことだよね。私がどんなに思っても、好きだといったとしても、東條さんと一緒に歩める未来はない。お弁当だって、いつかは……

「咲良ちゃん、聞こえてる?」
「……どうして」
「なに?」
「どうして、東條さんは私に優しいんですか?」
「どうしてって……」
 
 言い淀む声を聞いて、ああ失敗したと思った。そんなことを訊いたって、困らせるだけじゃない。
 だけど、今日一日で起きたことは喉に引っかかった魚の小骨みたいで、それを取り除かないことには前に進めそうになかった。

 でも、東條さんが困っているのも、わかってしまう。
 私はどうしたらいいの。なにが正解なんだろう。

 ほんの数秒の沈黙が延々と続きそうで怖くなり、気付けば「ごめんなさい」と呟いていた。