愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 将来の道が決まっていない私だって、経営を学んできた学生だ。起業する苦労やそれから続けていく大変さは、少しくらいわかっているつもりだもの。

 万が一恋人になれたとしても、会社と私どっちかを選べなんて、いえるわけがない。

「出資を打ち切るなんてことはさせないわ。それに、ライフメトリクスと父の会社での共同事業も動き出しているから、手を切ることはないと思うの」
「でも……」
「一織さんが私以外の女性を本気で愛せば、父だって諦めるわ」
「でも、私と東條さんは、そういう関係には……」

 毎日お弁当を届けても、土日にご飯を作りに行っても、一度たりとも甘い雰囲気になったことはない。キスどころか、手を握られたことだってない。

 東條さんは、私のことを可愛い後輩くらいにしか思っていないんだろうなって感じる。ただ、ほんのちょっとだけ親を亡くした寂しさを知る同士だから、居心地がいいんだろう。