愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「陽菜ちゃんは明日のライブに備えるからって急いで帰ったよ。猪原さんは今日、図書館のバイトだっていってた」
「そう、なんだ」

 ほっと胸を撫で下ろした結城くんは一度深く息を吸った。そうして、手を合わせると「頼む。会ってほしいんだ」といいながら私を拝んだ。
 事情はよくわからないけど、だいぶ困っているのかな。

「まあ、会うくらいなら」
「助かる!」
「……恋人の振りをしてくれとか、そういうのはお断りだからね」
「ああ、そういうんじゃないよ。とにかく、会った方が話が速いから」

 スマホを取り出した結城くんは、行こうかといって歩きながらメッセージを打ち始めた。喫茶店にいる彼女に連絡をしているんだろう。
 大学を出てしばらくすると、結城くんは辺りを見回した。もうすぐ駅だけど、待ち合わせの喫茶店を探しているのかな。

「待ち合わせ場所を探してるの?」
「あー、いや、そうじゃなくて……同じ学部のヤツがいないのを確認してた」
「どうして?」
「あのさ……坂下さんの片思いの相手のことなんだけどさ」
「東條さん?」